★ 哀しきストロー工作 ★
ある学校に勤務しているとき、【ごみ当番】がまわってきました。
掃除の時間に、校内のごみ収集所で待機し、
各教室から運ばれてくるごみがきちんと分別されているかを、チェックする係です。
あるクラスの女の子が持ってきたごみ袋には、
なぜか不思議なオブジェのようになった大量の”曲がるストロー”が入っていました。
思わず「何これ??(何があったの?)」と聞いてみると、
「今日の○○の時間にっ、ストローでいろんな立体作ったのっ!
この曲がるトコを関節みたいにして、こうやって・・・っ!
それで、最初は一人ずつ作ってたんだけど、そのうちみんなでくっつけて、
最後は、こぉ~んなおっきな立体になって、手が届かないくらいになって、めっちゃ楽しかったっ!!」
とても楽しかった様子を、彼女は興奮気味に教えてくれました。
しかしその直後、急に表情をくもらせてこう言いました。
「でも・・・、今はただのゴミ。
もったいない・・・。」
ストローとしての役割を果たせず、
セロテープでつなぎまくって巨大化したオブジェをゴミ袋に入るくらいまでバラしたおかげで、
妙にかさばるゴミとなってしまったストロー。
大量のムダに、心を痛める生徒。
きっと、○○の先生は、ストローのことなど気にも留めていないのでしょう。
彼女は、そのことにも、心を痛めているのでしょう。
しかし、なんでまた、ストローなのだ?!?!?!
と、ワタシは疑問に思うたのですが、すぐに、思い出しましたのです。
そういえば、どこかでご一緒した数学の先生が、多面体形状をストローで工作していたことを。
それもまた、曲がるストローの関節を利用して、あとはセロテープでベタベタと。
美しさのカケラもない、微妙な物体を手にして、ぶつぶつ言っている数学の先生。
そのときもワタシは、
「なんでストローなのだ??
竹ひごとか、算数セットの棒とかのほうが、よっぽどキレイで分かりやすく作れると思うけど?」
と、思うたのでした。もちろん、くちには出しておりませぬ。
その後、ネットで何か調べものをしているときに、元ネタのようなものを偶然発見しました。
どこかの先生が、ストローを使った工作を利用して、研究授業をしていたのです。
ワタシは、数学の先生じゃないので、知らなかったのですが、
数学の先生の中では有名な研究授業だったのかもしれません。
そうか、コレか・・・。と思いつつ。
先生の思いつきに、心を痛める生徒がいる可能性もあるということを・・・
普段から「ものを大事に」を心がけている生徒もいるということを・・・
「その後」のことも、すこーし考慮して授業を組んでいただけると・・・
できれば、作ったあと「大事にしたくなる」ような工夫とか・・・
自分でがんばって考えてつくったものを、自慢させてあげられるような・・・
すべては、生徒たちの笑顔のために・・・。
と、考えさせられたごみ当番なのでした。